○マニエリスム期とは
○ルネサンス期の代表的な芸術家一覧
○ルネサンス期の代表的な作品紹介
○マニエリスムに関連するページ
○西洋美術史紹介
『受胎告知(Annunciation)』[1590-1603年頃]
エル・グレコ
[油彩、画布] [109.2×80.2cm] 大原美術館所蔵
マニエリスムとは、盛期ルネサンスからバロック期へと移行する合間の、イタリアを中心としたヨーロッパに広がった美術様式です。
語源はイタリア語の「マニエラ(手法・様式)」にあり、20世紀の始めまでは、盛期ルネサンスの美術における完成された技法をひたすら模倣するだけの、沈滞期といった意味で使用されていました。
マニエリスムには、「創造性を失った芸術」という否定的な意味が込められていたのです。
日本の「マンネリ」という言葉もマニエリスムから来ており、英語表記の「mannerism(マンネリズム)」から「マンネリ」という外来語が誕生しました。
ところが、20世紀に入ると、マニエリスム期の画家たちの作品には、ルネサンス期に完成された美術をさらに展開させたものや、逆に反発したものであるということが再認識されるようになり、盛期ルネサンスとは違った魅力を持つ時代として、評価を上げて行きます。
マニエリスムの様式では、画家たちはそれまでのように忠実に自然を描写するのではなく、技法を凝らして人工的に美しさを表現することの追求をしました。
不自然に引き伸ばされた人体、遠近法を無視した配置や誇張、現実とは程遠い色彩、意図的に調和を見だした大胆で錯綜した構図など、それまでのルネサンス期には見られなかった強烈な作為性が感じられるのが、マニエリスム絵画の特徴であり、盛期ルネサンスで完成したとされた表現様式は、再び不自然な描写へと変化していきました。
マニエリスム初期には、ヤコポ・ダ・ポントルモ、ロッソ・フィオレンティーノ、ドメニコ・ディ・パーチェ・ベッカフーミなどの、宗教改革やローマ略奪などにより不安定だった当時の時代背景や、古典的調和の意図的破壊を表現したとされる画家たちの名前が残っています。
また、パルミジアニーノ、バッキアッカ、ジョルジョ・ヴァザーリ 、フランチェスコ・サルヴィアーティ、ブロンツィーノのように、宮廷や知的階層の人々の間でのみ楽しまれていた作品を描いていた画家などもいます。
パルマのコレッジョは、後世のバロック美術の到来を予告するような作品を残し、スペインの有名画家エル・グレコは、ローマでミケランジェロの芸術に感銘を受け、マニエリスムの様式とヴェネツィア絵画の特徴を融合させた宗教画を描き、マニエリスムの画家とされています。
盛期ルネサンスの巨匠であるミケランジェロの後期の作品がマニエリスムに含まれているという考え方もあります。また、風刺作家アレティーノと組み、16枚の性交態位図を描いたジュリオ・ロマーノもマニエリスムの画家の一人です。
このように、時代も、範囲も、定義も今もって流動的で、解釈が様々であるというのも、マニエリスムの特徴です。
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○ミケランジェロ(三大巨匠)(盛期ルネサンス)
○ レオナルド・ダ・ヴィンチ(三大巨匠)(盛期ルネサンス)
○ ラファエロ・サンティ(三大巨匠)(盛期ルネサンス)
○ジョット(ジオット)(ゴシック~黎明期)
○ボッティチェリ(初期ルネサンス)
○アルブレヒト・デューラー(北方ルネサンス)
○ピーテル・ブリューゲル(北方ルネサンス)
○エル・グレコ(マニエリスム)
パオロ・ウッチェロ
タッデオ・ガッディ
アンブロージョ・ロレンツェッティ
マサッチオ
アンドレア・デッラ・ロッビア
アンドレア・マンテーニャ
フィリッポ・リッピ
コズメ・トゥーラ
アントネロ・ダ・メッシーナ
ドメニコ・ギルランダイオ
ペルジーノ
フラ・アンジェリコ
ピエロ・デッラ・フランチェスカ
コレッジョ
ジョヴァンニ・ベリーニ
ジョルジョーネ
ティツィアーノ
ファン・アイク
ファン・デル・ウェイデン
グリューネヴァルト
ホルバイン
ボス
アルチンボルト
○最後の審判(ミケランジェロ)
○ピエタ(ミケランジェロ)
○ダビデ像(ダヴィデ像)(ミケランジェロ)
○聖家族(ミケランジェロ)
○最後の晩餐(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
○モナリザ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
関連する西洋美術史
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●ルネサンスの黎明期
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