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最後の審判Giudizio Universale

最後の審判とは

 イタリア・ルネサンス期の巨匠、ミケランジェロ

 西洋美術史における最高の芸術家の一人とも称される彼の代表作のひとつが「最後の審判」です。






 バチカン宮殿の中にある、システィーナ礼拝堂の祭壇に描かれたフレスコ画で、高さ14.4メートル、幅13.3メートルというこの作品は、1508年~1512年にかけて制作された、まさに大作中の大作です。

 個人の描いた絵画としては、史上最大のものと言われ、詩人・ゲーテをして「一人の人間の成しうる偉業の大きさを知りたいと思う者は、この絵の前に立つがいい。」と言わしめた、世界最大の壁画として知られています。

 イエス・キリストが死者の魂に裁きを下し、天国へと昇天していく者、地獄へと堕ちていく者の姿や天使たちなど、400人以上もの人々の姿が描かれており、作品の解説によると、旧約聖書のダニエル書、イザヤ書、新約聖書のヨハネの黙示録などを主題とし、ダンテの神曲・地獄編からインスピレーションを得て、ミケランジェロはこの大作を描き上げたとされています。

 最も特徴的とされる点は、キリストを中央に配し、善人、つまり天国へと昇っていく者たちがキリストから見て右側に、地獄へ堕ちていく悪人たちが左側に描かれていることです。 これには、『マタイによる福音書・25章31節』に記されている「羊を右に ヤギを左に より分けるだろう」という記述が関連していると解説されています。

 英語のrightに正しいという意味があるのは、この記述から大きく影響を受けていると言います。

 多くの宗教画にありがちなように、この最後の審判にも、さまざまなエピソードが伝えられていますが、良く知られているのは、地獄の王ミノスの顔が、この絵を激しく非難したとされる当時のローマ法王庁の儀典長、ビアージオになっていること、そして皮剥ぎの刑で殉教したと言われる聖バルトロマイが手に持っている人間の皮の顔の部分が、ミケランジェロの顔に酷似しているという点です。

 最後の審判に描かれている人物が、キリストをはじめ、みな古代神話にでてくるような肉体美を持ち、しかも腰布がない裸体であったため、教会の祭壇のような神聖な場所に描かれる絵画としてはふさわしくないとして、数々の非難を浴び、ミケランジェロの死後、裸体の人物像の局部を隠す加筆が、ミケランジェロの弟子、ダニエレ・ダ・ヴォルテッラによっておこなれていました。

 1981年から1994年にかけて、日本テレビの支援で修復作業が行われ、礼拝堂の壁画と天井画は洗浄され、当時の色彩が美しく蘇りました。
 加筆されていた、局部を隠すための衣装も、修復が難しい一部をのぞき復元されています。



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