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ピエタPiet

ピエタについて

ピエタとは
 ピエタ(Piet)とは、慈悲や悲哀を表すイタリア語のことです。
 キリスト教美術の主題の一つとされていて、十字架から降ろされたキリストの遺体を膝の上に抱いて悲しむ聖母マリアを表現した絵画や彫刻などを指します。



ミケランジェロの制作したピエタについて

 ミケランジェロは生涯に4つのピエタを制作しましたが、完成したピエタは、サン・ピエトロ大聖堂のピエタのみとされています。



ピエタ[1498-1500](サン・ピエトロ大聖堂所蔵)



 多くの芸術家が、この『ピエタ』を制作していますが、中でも有名なのが、ローマのサン・ピエトロ大聖堂に収蔵されている、ミケランジェロによる大理石彫刻のピエタです。

 サン・ピエトロ大聖堂のミケランジェロのピエタは、ルネサンスの理想の最終到達点とも言われ、その洗練された美しさ、調和、荘厳で精緻な彫刻から、フィレンツェのダビデ像と並び、ミケランジェロの代表作とされています。

 完成したピエタを見た当時の人々は、「人間の潜在能力の発露であり、彫刻作品の限界を超えた」とその出来栄えを評価し、若き日のミケランジェロは、わずか24歳の時に制作したこの彫刻でその名声を確立したのです。

 この1作目のピエタには、若き日のミケランジェロのユニークなエピソードが残されています。

 ピエタの像が設置されて間もない頃に聞こえてきた「あれを制作したのは二流彫刻家のクリストフォロ・ソラーリだ」という噂に激怒したミケランジェロは、夜中に当時設置されていた教会に忍び込み、マリア肩から下がる飾り帯に自分の名前を刻み込んだというのです。

 しかし、後からこの自分の行為を後悔した彼は、その後自分の作品には決して名前を入れない、と誓ったのだそうです。  そのため、この作品はミケランジェロの名前が刻まれた、唯一のものとなりました。

 ミケランジェロは、生涯に4つのピエタ制作に取り組んでいます。

 しかし、最初に制作したサン・ピエトロ大聖堂の彫刻以外は、全て未完成のままとなっています。

 2作品目のフィレンツェのピエタの制作に取り掛かったのは、ミケランジェロが75歳前後の時と言われ、最初のピエタ制作からすでに50年もの歳月が過ぎていました。

 フィレンツェのピエタには、聖母マリアとマグダラのマリア、キリストの背後にニコデモと4人の姿がありますが、ミケランジェロは老いた自らの姿を、このニコデモに重ねて刻み込んだと言われています。

 また、同じフィレンツェのアカデミア美術館には、3作めのパレストリーナのピエタが収蔵されていますが、他の3作品との違いは、浮き彫りのような手法で制作されていることです。  この作品には、真贋を疑う声も多いと言います。

 そして、ミケランジェロ最後の作品となったのが、ピエタ4作目のロンダニーニのピエタです。

 イエスとマリアがお互いを支えあうようにして、昇天していく姿が表現されているとも言われるこの作品を、彼は自らの墓に飾るつもりで、視力を失いながらも、手探りで病に倒れる前日まで制作を続けていました。

 この最後のピエタが、彼の遺作となりました。



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