○ルネサンスの黎明期とは
○ルネサンス期の代表的な芸術家一覧
○ルネサンス期の代表的な作品紹介
○ルネサンスの黎明期に関連するページ
○西洋美術史紹介
『聖母の埋葬』ジョット・ディ・ボンドーネ[1310]絵画館(ベルリン)所蔵
『聖フランシスコの嘆き』 ジョット・ディ・ボンドーネ作 バルディ礼拝堂
12世紀から13世紀にかけての期間が、16世紀までの長きに続く美術の一大運動、ルネサンスの黎明期になります。
ルネサンス黎明期のトスカーナ地方では、フィレンツェ派の始祖と言われるチマブーエと、シエナで活動したドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャが特に有名な画家として活躍していました。
両者とも、ビザンティン美術の影響を強く受け、聖母子などの大規模な祭壇画など、宗教画を多く描いていました。
『荘厳の聖母(オニサンティの聖母)』325×204cm
ジョット・ディ・ボンドーネ作
[1310年頃] ウフィツィ美術館所蔵 テンペラ、板
当時のビザンティン美術の画家たちは、主題によって様式が決められ、同じような構図、同じような構成でテンペラで描かれた宗教画ばかりが無数に作成されていました。
このような絵画様式から、非常に堅苦しい時代と感じる人も居るようです。
チマブーエやドゥッチョは、そんな時代において、ビザンティン美術やゴシック美術の影響を受けながらも、ルネサンス美術への橋渡しをした、重要な芸術家であったとされています。
そんなチマブーエの弟子として、実力を磨いたのが、ルネサンス黎明期の騎手であるジョット・ディ・ボンドーネです。
ジョットは、フィレンツェ郊外の農家の子として生まれながら、チマブーエにその才能を見出され、後期ゴシックからイタリア・ルネサンスへの先鞭をつけた、偉大な存在となりました。
ルネサンス黎明期の特徴は、ビザンティンやゴシックの影響を残しながらも、その後のルネサンス初期に続く写実的で自然主義的な表現が生まれたことです。
ジョットは、当時の他の画家の描く絵とは違い、しっかりとそこで生きているまっとうな人物、解剖学的に正確で、表情豊かな人物を描いたことで知られています。
彼の描く人物のまとう衣装は質感があり、それまでの平面的な絵画とは違って三次元的であり、無表情な人物は描かれていませんでした。
ジョットがスクロヴェーニ礼拝堂に描いた一連のフレスコ画は、絵画に新しい物語性をもたらしたと言われています。
ルネサンスの黎明期には、ジョットの弟子として修行をしたり、直接の指導は受けなくても、ジョットの影響を強く受けて彼の技法を学んだ画家がたくさんおり、ジョットと同じように写実的な絵画を描く芸術家が多く輩出されました。
しかし、ジョットほどの評価を得た画家も、成功した画家も、ジョットの他にはいません。
それだけ、この時代におけるジョットの功績は大きかったということでしょう。
サン・フランチェスコ大聖堂には、ジョットが手がけたフレスコ画群がありますが、一部ピエトロ・カヴァリーニらのローマの画家の作品も含まれているのではないかとする説もあるそうです。
このフレスコ画群の下には、完成後にチマブーエが描いた『聖母と聖フランチェスコ』がありますが、これも明らかに初期の頃とは違った、自然主義的な手法で描かれていることが見てとれる作品です。
師弟の絵画での共演に、興味を惹かれる人もいるのではないでしょうか。
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